ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


S級のイケメン。
そう、それが俺ではないことは確かだ。

俺の脳裏に、涼しい顔をした長身の男が浮かんだ。

「お前なら久遠呼べるだろ? あいつが来てくれねぇと合コンが流れちまう!お願いだ、呼んでくれ!」

健司が俺の肩をガシッと掴む。

「む、無理だよ!あいつそういうのマジで興味ねぇから」

「頼む凪! お前だけが頼りなんだ!」

必死に俺に頼んでくる健司。

合コン……俺も久しぶりに行きたい。
可愛い女子と知り合いたい。

でも、そのためには碧斗が必要だ。
今の俺と碧斗の関係を考えると、これはかなりリスクが高い。
誘っても絶対来ないだろうし……。

ん?
ちょっと待てよ。

前に碧斗とデートした時に言ってたよな。

『凪が俺をダシに使って女の子に会うのは嫌だな』

……まさにこれじゃね?
あいつの嫌がることをする=別れたいと思う。

そうだ!これだ!
どーせ碧斗だって水野先輩にうつつを抜かしてるんだ!

だったら俺だって女の子と合コン行ってもいいよな?