ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


碧斗と、遠目にも分かるほどの美女……水野先輩が向かい合って立っている。
先輩が顔を赤らめてなにかを伝えている。

まあ、でも碧斗は告白受けねぇからなあ。
なんたって俺のことが好きなんだし。

俺って罪なオトコ……。

なんて余裕をぶっこいていたら、碧斗はめずらしくふわりと笑った。

……は?なんだよ、その楽しそうな雰囲気。
普通告白失敗したらこうはならないよな。

もしかして、いい感じになってるわけ?
胸の奥がチリッと焦げ付くような感覚になる。

……なんだよ。俺が好きなんじゃねぇの?
俺にはあんな告白しておいて、他の女子にもいい顔すんのかよ。

けっきょく誰でもいいんじゃん!
やっぱり女子の方がかわいいってか?そりゃそう思うよな。

俺にはかわいいもころもないし?
碧斗に釣り合うような美貌もねぇし!

なぜかわからないが、無性に腹が立った。

俺がイライラしながらその場を離れようとした時。

「凪」

俺は誰かに呼びとめられる。

「おお、健司!」

振り返ると、そこには中学時代の友人である健司がいた。