碧斗の家での一件から、俺たちの距離はまた少し縮まった気がする。
いや、縮まったというか……。
『出来るよ』
あの事件以来、碧斗のスキンシップがさらに堂々としたものになった気がする。
「碧斗、手繋いで学校行こう?」
「誰が行くか!」
俺たちは順調に(?)カップルごっこ……いや、カップルを続けているわけだが……俺の本来の目的を忘れてはいけない。
そう、俺は可愛い彼女を作って、キラキラした青春を送るんだ!
別れたい気持ちは十分にあるのに、なかなか行動にうつせてないのが現状だ。
今日はどんなことを試そうか……。
そんなことを考えていた放課後。
教室に碧斗の姿はなかった。
あれ、どこにいたんだ……?
俺がカバンを持って教室を出ると、廊下がやけに騒がしかった。
「おい、見たかよ!3年の水野先輩!」
「まじか!あの学校一の美女が久遠に告白なんてな」
……は?
碧斗に告白?
「バカ、知らねえのか?ずっと狙ってたらしいぜ。しょっちゅう俺らの学年のところ来てたじゃん」
マジか……。
また碧斗は告白を受けてんのかよ。
廊下で話してる男たちの会話を聞いて窓に視線を向ける。
するとちょうどふたりが見えるところにいた。
水野先輩って……あのモデルみたいな人だよな。


