ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


それから、昼間の疲れもあったのか気づいたら俺は眠ってしまった。

……ん。
ふと意識が浮上する。
なんか、暑いと思って振り返ると。

「……っ!?」

俺の腰に、碧斗の腕がしっかりと回されていた。

こいつ……!
人が寝てる間に、なんて体勢で寝てやがるんだ!

俺が腕を解こうと身じろぎしたその時。

「……ん……ぅ」

耳元で、寝息混じりの声が聞こえる。
そして碧斗は小さく言った。

「……ごめんね……凪」

か細い、今にも消え入りそうな声。
俺の動きがピタリと止まる。

ごめんね、って。 なにを謝ってんだよ。

「……バカ」

俺は回された腕を解くのを諦めた。
そして、後ろにいる碧斗の方へ手を伸ばし、そのサラサラした髪をそっと撫でた。

「謝ってんじゃねぇよ」