ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


やべ、かなちゃんにこてんぱに言われた時の俺が出てる。

でもいいのか……碧斗には嫌われるためにやってるんだからな。

そう思って碧斗の顔を見てみると、普通に感心した顔で俺を見ていた。

「へえ、そうなんだ。凪、本当そういうの詳しいよな」
「お、おう……」

「そういう話も聞けるから、俺……凪と映画見るの好きなんだ」

なんかポジティブな反応返ってきたんだけどおおおおお。
なんでコイツには聞かないんだ?

やっぱりあれか、戦隊系は男はみんな好きってことか。

恋愛ものとかにすりゃ、よかった……。

けっきょく映画はふたりしてバッチリ楽しんでしまった。

「はぁ……最高だった」

でもなんの作戦も実行できてねぇ。

映画館を出て、すぐ近くのショッピングモールに向かう。

マズイ、このままじゃ普通に楽しいデートで終わっちまう。
俺は蛙化作戦をしにきたんだぞ!

忘れるな……!
ショッピングモールにつくと碧斗は言う。

「凪、どこみたい?」
「あー……どこでもいい」

俺はスマホをいじりながら、わざと気のない返事をした。