ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


『自分の見たいやつに付き合わせないで!最低』

今でも覚えてる……苦い思い出だ。
チケットを発券機で出した後フード売り場が目に入った。

やっぱり、映画にはポップコーンだよな!

「いいか、碧斗……言っとくが俺はなぁ……」

得意げに言い出した俺の言葉を、碧斗が途中で切ってくる。

「映画はポップコーンを買って見る派、だろ?」
「お、おお……」

「いつものソルトとキャラメルのハーフでいい?」
「おう……」

そっか、碧斗とは何回かみんなで映画にも行ったし知ってるのか。
コイツすげぇな……。

碧斗はポップコーンとドリンクを頼んでくれた。

頼んだのは俺がファミレスとかに行ったらいつも飲むコーラだ。
すげぇ……完璧だ……。

席に座るとワクワクが高鳴ってきて、俺の口数は増えていった。

「なぁ碧斗。今回の監督、昔のシリーズの第18話で一回だけメガホン取った人でさ。その時の演出がマニアの間で神回って言われてて……今回の赤の必殺技のバンク、絶対その時のオマージュ入れてくると思うんだよな!」

語ってからはっと気づいた。