あの日、碧斗と付き合う!とノリで言ってからもうすでに1カ月が経とうとしていた。
「ああ、もう……女の子不足!」
いつもの感じだったら、きっともう誰かを好きになっていて、誰かに告白しているところなのに……今は当然そんな余裕がない。
なんにせよ、女子と近づくきっかけすらないんだからな。
朝は碧斗の送り迎えから始まり、家に帰るまで碧斗と過ごす始末。
恋に落ちる余裕もない状況だ。
「はぁ……」
俺は大きなため息をついた。
俺は普通の恋がしてえだけなのに……。
マジでどうしたらいいんだ……。
机に顔を伏せたその時。
「ていうかさ、私……昨日彼氏と別れたわ」
すぐ前の席で、女子たちがヒソヒソと話しているのが耳に入った。
「え、早くない!?ついこの間付き合ったばっかじゃん」
「なんかねー、最初はいいと思ったんだけど蛙化しちゃって」
……蛙化?
俺は思わず耳をそばだてた。
「マジ?なんで?」
「なんかデート中にちょっと店員さんにあたりが強かったり?後優柔不断だったりしてさ、頼りないわ~と思っちゃって。そこから全部が目についちゃってもう無理だって思ったんだよね」
「あー……分かる」


