「あいつって人のこと殴ってたんだろ?」
「人を傷つけてもなにも思わないって言い放ったらしいぜ」
そのウワサの中には事実とは違うこともあったけど、あんなことをしていたのだから色がついても仕方ないと思った。
誰も俺の席には近づかない。
クラスでは完全に孤立していた。
……まぁ、そうだよな。
高校だってちょっと家から離れたってくらいだ。
そんなウワサはすぐに追いついて広まるに決まってる。
俺は諦めた表情で、窓の外を流れる雲を眺めていた。
まっ、別にいいんだけど。
居場所なんてどこにもないって知ってたし。
そんなことを考えていた時。
「あのさ、久遠!喋ろうぜ」
不意に、机の横から声がかかった。
見ると、クラスで一番うるさいグループの中心にいるような男が俺に話しかけてきていた。
たしか……浅見凪とか言ってたか。
「飛行機雲?あれすごいよなあ!」
うざいな……。
なんなんだよ、話しかけてくんなよ。
俺に話しかける浅見を見て、みんながやばいみたいな目で見ている。
俺は、関わるなと威嚇するようにそいつを睨みつけた。


