「本気で俺らがダチって思ってんだろ?可哀想なやつだぜ」
手に持っていたジュースの缶が、やけに冷たく感じる。
ああ、そうか。
けっきょく自分に居場所なんかなかったんだ。
受け入れてもらえた。
自分がいる場所はここだと勘違いしていただけだ。
俺が俺だから、という理由でそばにいてくれる人間なんてどこにもいない。
それは父親もだし母親も。
みんな誰も俺のことなんか見ていないんだ。
俺たちがやっていた悪事は、やがて学校と警察の知るところとなった。
仲間だと思っていた連中は、あっさりと俺を主犯格に仕立て上げ、散り散りになって消えた。
それから俺は数ヶ月、部屋に引きこもった。
もう誰とも会いたくないし、関わりたくない。
カーテンを閉め切った薄暗い部屋で、ただ時間が過ぎるのを待っていた。
「碧斗」
ドア越しに母親の声がする。
「碧斗、お願い……高校だけは……行ってちょうだい」


