そんなことを感じるようになってからは、学校には行かず出歩くようになった。
夜外に出て、目的もなく街を彷徨う時間が増えていった。
温もりもなければ、期待もない。
そんな空っぽの俺に、彼らが声をかけてきたのは、必然だったのかもしれない。
「おい、お前……見ねぇ顔だな。何中だ?」
振り返ると、派手なシャツを着た男が数人を引き連れて、俺を見下ろしていた。
隣の中学の連中だろう。
面倒なことに巻き込まれた、と思った。
「……別に。関係ないだろ」
俺が冷たく言い放つと、男は意外そうに眉を上げた。
そして、ニヤリと口の端を吊り上げる。
「ハッ、生意気な一年坊主だな……来いよ!どうせ退屈してんだろ」
男の言葉に、俺はなにも答えなかった。
でも行くところなんてない。
家でひとりでいるよりはマシだ。
俺は無言で立ち上がり、彼らの後をついて歩き出した。
「おい、碧斗……お前やるじゃん!」
「すげぇ強えー!」
彼らといると、なにも考えなくてよかった。


