中学の頃の俺は自分の生き方なんてどうでもよかった。
適当に生きて、適当に生活して周りからの見られ方なんて気にせず、流されるままに生きてきて……。
俺の人生はそんなものだと諦めて笑う。
そんなちっぽけな人生を生きて来ていた。
俺の記憶に、家族団らんという言葉はない。
父さんと母さんはいつもケンカをしていた。
耳を塞ぎたくなるような言い争う声だけが聞こえてきて、いずれ……。
『碧斗、聞いてお母さんとお父さんは別々の人生を歩むことになったから』
ふたりは離婚した。
俺は母さんに引き取られることになり、父さんは家を出ていった。
それから残った家で、母とふたりで暮らすことになった。
と言っても母が家にいることはめったにない。
母は「あなたのため」と言いながら、朝早くから夜遅くまで仕事に明け暮れた。
平日の夜に母の顔を見ることはなく、休日も疲れ果てて寝ている背中を見るだけだった。


