【碧斗side】
好きになってはいけない相手を好きになってしまった。
自分の心に芽生えたこの気持ちは絶対に伝えてはいけない。
心にしまってひそかに目で追っているだけでいい。
そう思っていたはずなのに、あの日……俺は欲が出た。
『じゃあ俺……碧斗と付き合うわ』
本当は、失恋の痛みを誤魔化すための、凪の無茶苦茶なノリだと分かっていたのに。
そっとひとつ手を伸ばす欲が出てしまったんだ。
『うん、いいよ。付き合おうか』
ズルいのは分かっている。
でもこうでもしないと、一生親友のままであることも分かっていたから……。
一生凪が、女子に告白をする瞬間を友達としてみないといけないのが、耐えられなかったのかもしれない。
だからあの言葉に俺は、こじつけたんだ。
ごめんな、凪……。
好きになって……ごめん。


