ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「なっ……」

ちゅっと微かな音が響くと同時。
俺の心臓もドキンと胸を打った。

「お、おい!」

そういうのやめろ……っ。
なんか顔がいいからときめくんだよ!!

これだからイケメンは……っ。

すると碧斗はまっすぐにこっちを見つめて言う。

「凪はさ、優しいんだよ。人に……どんな人にだって優しくしてくれる、から……好き」

碧斗のまっすぐな言葉が、俺の胸に突き刺さる。
その表情はいつものからかうような表情とは違かった。

真剣な表情ででもどこか目は合わなくて、遠くに感じる瞬間──。

碧斗は俺に心を開いてるなんて言うけれど、そうじゃない時があることを知っている。

相手と上手に距離を置いて、自分の殻に閉じこもる瞬間を。