ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


そうだ。
そうやって追求してやれば、答えられなくてなんで俺……好きだったんだろうって我に返るかも!?

そんな淡い期待を浮かべると、碧斗はゆるやかに笑って言った。

「どこ、って……全部だけど?」
「は?」

「ちょっと不真面目なとことか、意地張るとことか。あと、不器用なのに友達思いなところとか……」

淡々と並べ始める碧斗に、俺は口をぽかんとあける。

答えられんのかよ!

「それにさ、ちょっと拗ねたときの顔とか、困ったときに頭かくクセとか……あ、あとね」
「いや、多すぎだろ!」

「そう?あと3時間くらい語れるけど」
「いらねぇよ」

なんか……。
俺人生で一番、今が愛されてる気がする。

ここまで俺のこと好きって言ってくれるやつ、今後現れないような気さえしてきた。

なにちょっといいかも、とか思っちまってんだよ!

俺がはぁっとため息をつくと、それを見て碧斗は静かに言った。

「ごめんね、凪……もう少しだけ俺のわがままに付き合ってほしい」

眉を下げて俺を見つめる。
その瞳はなんだか寂しげだった。

もう少しだけ……?

すると、俺の返事を待たずにす、と手が伸ばされる。
俺の右手が包み込まれ、碧斗はそのまま俺の手の甲にキスをした。