ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


放課後になり、他のクラスの女子が碧斗の周りを囲んでいた。

こういうのはよくあることだ。
羨ましい……じゃなくてだな。

「碧斗くん、この曲聞いてみて~おすすめなの」

碧斗は、放課後遊ぼうと女子から毎日のように誘われている。

そこでだ。
碧斗の嫌がることをするってことで、邪魔をしてやろうと思う。

俺も女子からの誘いを碧斗に邪魔された時は本当に許せなかったからな。
誰だって下心はあるものだろう?

俺は胸を張りながらズンズンっと碧斗のいる場所へ向かっていった。

「おい、碧斗」

その小さな輪にずかずか入っていく。
女子たちが「あ、凪くん」と言ってきたのをほぼ無視し、俺は碧斗の肩をぐっと引き寄せた。

「碧斗は俺と予定あるんで、みんな散ってくんね?」

ちょっと嫌な感じで女子に告げる。
すると碧斗が一瞬きょとんと目を瞬かせた。

女子たちは「え?」と視線を交わし、戸惑いの空気が漂う。

いいぞ、いいぞ。
ほら、碧斗も言え……。

「今女子としゃべってるのに、それはないってな」