ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺は自室のベッドに寝転びながら、スマホで【人に嫌われる方法】と検索した。

なるほど……。
検索結果はすぐに出てきた。

ワガママを言う。だらしない姿を見せる。相手の嫌がることをする……。
たしかに、こういうやつは嫌われるな!
いいぞ!

これは案外簡単に碧斗に無理だと言わせられるかもしれない!
そうと決まれば、さっそく作戦開始だ。

翌日。
昨日碧斗に嫌われる方法をばっちり探して対策を練ってきた俺。
完璧だ。

今日はさっそく碧斗にやってやる!

リビングで靴下を履きながら、準備をしていると。

──ピーンポーン。

案の定チャイムが鳴った。
窓の外をふと見れば、碧斗が家の前に立っていた。

来たな、碧斗。
ふっ、俺を嫌いになる日はもう近いぜ。

俺が玄関を開けると、碧斗が「おはよう」と笑顔で出迎える。

ええっとまずは、作戦第一。
わがままを言う……だな。

「はよ」

そして俺は、碧斗の前に行くなり「ん」と自分のカバンを差し出した。