ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「なに?」

碧斗は友達だ。
超気が合って一緒にいたら楽しい友達。
それでしかない。

「やっぱり俺……碧斗と付き合うのは無理だ。だから別れてほしい」

俺の声が静かな夜道に響いた。

「そうだよね……」

するとすぐに碧斗からの返事が返ってくる。

なんだ、分かってくれたじゃん!
そうだ。
最初からそういえばよかったんだ。
ノリで付き合っちまったのは不本意だったが、すぐに別れればそれは終わり。

俺は全然無かったことに出来るし、問題無し!
そんなことグダグダ悩まないですぐに言えば良かったぜ。

すると、碧斗は笑顔を作りながらさらに続けた。

「でも……無理かな」
「えっ」

さっき納得したんじゃ……。

「だって付き合ってって言ったの凪じゃん」

「それはそうだけど、あの時はノリで……」
「ノリで言っていいことと悪いことがあるよね?」

碧斗はいつもの笑顔を作りながらそんなことを言う。

「そ、それは……っ」