急にカッと血が上る。
恥ずかしすぎるだろ!
「おい、それ……!」
「ん?」
碧斗はなにも気にしていないようだった。
「だって一応デートだから」
「俺は認めてねぇぞ!」
これはデートなんかじゃねぇ。
ダチとの友情物語だ!
「凪が嬉しそうな顔して食べてた姿見られてよかった」
本当に嬉しそうにそんなことを言うもんだから、俺はどこを見ていいか分からなくなった。
なんだよ。
そういう女子を喜ばせるようなセリフやめろよ。
俺と碧斗は彼氏と彼女じゃない。
友達のまま楽しく遊ぶじゃダメなのかよ。
けっきょく、巨大パフェは完食したものの店を出る頃にはすっかり日も暮れかけていた。
並んで歩く帰り道。
駅までの人混みを抜けると、時々歩いている隼人の手が俺の手にあたる。
今まではそんなこと、どうも思わなかったはずなのに妙に意識してしまう。
ああ、もう!
このままじゃダメだ!
碧斗にはちゃんと言わないと!
人通りの途切れた路地で、俺は足を止めた。
「碧斗」
「……ん?」
俺につられて、碧斗も立ち止まる。
俺は、息を一度吸い込んで碧斗に伝えた。
「その……ちゃんと言わなきゃなんねぇことがある」


