ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


『じゃあ俺……碧斗と付き合うわ』

いや、待て。 待て待て。 あの時の碧斗の返事。

『うん、いいよ。付き合おうか』

俺はてっきりヤケクソな俺のノリに、あいつも合わせてくれたんだと思っていたが……。

「……お前、まさか……本気で俺と付き合った?」

俺の言葉に碧斗はこくんと頷く。

う、ウソだろ……。
どういうことだ!?
なぜ俺と碧斗がガチで付き合ってんだよ。

「本気にしたのに」
「え」

もしかして……毎朝、律儀に迎えに来たのも、車道側を歩いて俺を守ったり「好きだ」とか急にいってきたりしたのもなんて言ったのも、さっき佐藤さんたちを追い払ったのも……全部、俺と付き合ってると思ったから……?

「えーっと。その……だな」

状況は分かったが、冷静になることは出来ない。
いやいやいや、だっておかしいだろ!

「俺、男だぞ!?」
「知ってるよ」

なんでだ。
なんで俺なんだ?
学校でも一番モテる碧斗が選んだ相手が俺……?