「にしても、23連敗してるんだからいい加減学んだら?サルでも学ぶのに凪はサル以下だね」

こいつ、こうやって笑顔のまま刺してくるんだよなぁ……。

分かってるよ、分かってるんだけどおおお!
俺はこういう時なぐさめて欲しいのよ!

よし、こういう時は……。

「うわああああん、ふたりにいじめられたぁ……!」

俺は奥でやりとりを見ていた碧斗に駆け寄っていき、胸に顔をうずめた。

「悠馬」

碧斗は俺の頭に手を添えて、ゆっくりと頭を撫でてくれる。

「……よしよし、かわいそうに」
「碧斗〜〜」

碧斗の優しさが心に沁みる。
やっぱり俺の味方は碧斗だけだ。

久遠碧斗(くおん・あおと)
俺と同じクラスの男子で、身長は187センチくらいある。

黒髪は少しだけ前髪が目にかかるくらいで、切れ長の目に薄い唇、女子がキャーキャー言うくらい整った顔。
……正直羨ましい。

「俺が碧斗みたいな見た目だったら、こんな連敗記録作ることはなかったのかな」

「そんなことないよ」

碧斗は優しくそう言ってくれた。

「いや、そんなことはあると思うぞ」
「うん……たぶんフラれないと思う」

悠馬と一樹は声を揃えて言う。