ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺は内心ガッツポーズをした。
これを機に、佐藤さんと仲良くなれるチャンスじゃね?

これは神様が俺にくれたプレゼントだ!

「お、いいぜ! 俺もちょうどそこ行ってみたいと思って……」
「悪い」

すると俺の返事を遮るように、低い声が降ってきた。
スッと、机に影が落ちる。

いつの間にか、碧斗が俺の真横に立っていた。
そして、なんの躊躇もなく俺の肩に腕を回す。

「ごめん。碧斗と俺……今日俺と先約あるんだ」

碧斗は、俺を抱き寄せたまま。
女子ふたりに完璧な笑顔を向けた。

「あっ……そうだったんだ!なら仕方ないね」
「邪魔しちゃったね!ごめん!」

ふたりは「楽しんでね~」と言葉を残して教室を出ていった。

「あ、ああ……待って……」

俺の情けない引き留める声は、ふたりの耳には届かない。
パタパタという軽い足音は、あっという間に廊下の喧騒に紛れて消えた。

……行っちまった。
佐藤さんとの淡い期待が、音を立てて砕け散る。
俺はふたりが消えた教室のドアを、呆然と見つめるしかなかった。