ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


西日が差し込む放課後の教室。

「あー疲れた」

もう半分以上の生徒が帰り、イスを引く音だけがまばらに響いている。

さてと、今日はさっさと帰って昨日のゲームの続きでもするかな……。

一樹は塾だし、悠馬のやつは隣のクラスのダチとカラオケに行くって言ってたしな。
俺がカバンを肩にかけようとした、その時だった。

「あのさ、凪くん」

クラスの女子に呼び止められ、俺は振り向いた。
そこに立っていたのは、佐藤さんと鈴木さんだった。

ふたりとも、クラスでは目立つグループにいる女子だ。

「今日この後、暇だったりする?」
「おう、ヒマだけど……」

なになに?
なんかお誘いがありそうな雰囲気じゃね?

「駅前に新しくできたアニメグッツが売ってる中古屋さんに行ってみたくて……ただ女子ふたりだとちょっと入りにくいかなと思ってね」

「お願い凪くん。一緒に来てー」

佐藤さんと鈴木さんが隣で手を合わせた。

うお、マジか……!
キター!!

密かに佐藤さんのこと、ちょっといいなと思ってたんだよな。