「どう思う?」
伏せられた長い睫毛が、その整った顔に影を落としていた。
近すぎだろこの距離。
いつもより低く聞こえる声が、やけに耳に響く。
碧斗がゆっくりと瞬きをして、再び俺の目をまっすぐに捉えた。
──ドキ。
その瞳が、なぜか熱を帯びているように見えて、なんか意味分かんねぇけどドキドキした。
「し、知らねぇし……早くどいてくれません?」
「……ああ、ごめん」
碧斗はようやく体を起こした。
イケメンはやっぱり罪ってやつだな。
そして、俺が苦戦していた本棚の一番上に、あっさりと手を伸ばす。
長い指が、簡単に数冊の漫画を掴み出した。
「じゃあこれもらっていくね」
「おお」
これで用事は済んだはずだった。
なのに碧斗は、まだ俺の机の前に突っ立っている。
「……なに?」
俺が顔を上げると。
碧斗は、真剣な目で俺を見下ろしていた。
その視線に、また心臓がうるさくなる。
「凪」
静かに名前を呼ばれた。
「好きだよ」
「……は?」


