だが、倒れる勢いは止まらない。
俺を支えようとした碧斗もろとも、ふたりでもつれ合うようにしてクッションの上に倒れ込んだ。
「痛……っ、」
くはない?
恐る恐る目を開けると、俺のすぐ目の前に碧斗の顔があった。
俺の上に乗り上げるようにして、碧斗が心配そうに俺をのぞき込んでいる。
俺の後頭部の下には、碧斗の腕が差し込まれていた。
どうやら、俺が床に頭を打ち付けないよう寸前で手を入れてくれたらしい。
「大丈夫?」
「お、おう……」
すげぇ構図だな。
碧斗の片腕が俺の頭のすぐ横にあって、完全に押し倒しているような。
女子が見たら失神ものだ。
「ありがと」
「うん……」
一瞬、気まずい沈黙が流れる。
「つーか碧斗……こういうの女の子にもしたことあんの?」
気まずさを紛らわすために、つい口から出た言葉だった。
碧斗ほどモテるやつだったら、こういうシチュエーションのひとつやふたつ経験していてもおかしくないだろう。
すると、俺の問いに碧斗は少しだけ目を伏せて答えた。


