ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺たちはそのまま俺の部屋になだれ込む。
碧斗は慣れた様子でベッドの縁に腰掛け、俺は床に転がって漫画雑誌をめくった。

「で、貸してた漫画ってどれだっけ」

そういえば、碧斗に借りまくっててどれがどれだか分からない。
コイツ……俺が好きだって思った漫画全部持ってんだよな。

「それ」

碧斗が指差したのは、俺の本棚の一番上だった。

「あー、あれか。ちょっと待ってろ」

俺は適当に台にしてたクッションを踏み台にして、つま先立ちで手を伸ばした。

「おーし、もうちょい……」
「危ないって。俺やるからいいよ」

チッ……バカにすんな!俺だって身長は碧斗ほど高くないけど、これくらいは余裕だ。

「いけるいける。ほら、もうちょ……」

けれど指先がかすった瞬間、バランスを崩した。

「うわっ――」

踏み台にしていたクッションがずるっと滑り、俺の身体がバランスを崩す。

「危ない!」

背後から碧斗の声がして、とっさに腕を掴まれた。