ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺の言葉に悠馬も合わせて言う。
確かに、碧斗が誰かと付き合っているところは見たことがないな。
こんなにモテるんだから美人と付き合っててもおかしくねぇのに。

「だって……興味ないし」

はぁ……モテ男がそれを言うのかよ。
つくづく女泣かせなやつだよな。
一体どんな女の子から告白されたらOKするのやら。

「ほら、もう帰ろう」

碧斗はそう言って、俺の背中を軽く押した。

「あーあ、俺も佐々木さんみたいな可愛い子に告白されてみてぇ」

「光はまず、23連敗の記録をどうにかしないと。悪いウワサになってるから誰も近づいて来ないんじゃない?」

「一樹ひでぇ!」

いつものように、俺の失恋話で盛り上がっていると、悠馬がパンっと手を叩いた。

「ごめん!俺、今日このあと用事あるんだった」
「用事?」

「そうそう。ちょっと友達と会うんだよね。ってことでお先!」

悠馬はそれだけ言うと、手をひらひらと振りながら、脇道へと入っていく。

「なんだよ、あいつ……」

俺が呆気にとられていると、今度は隣にいた一樹が立ち止まった。