ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「……お返し」

……くそ。
碧斗に勝てる気がしねぇ(泣)

碧斗は満足げに笑うと、コンクリートに手をついて立ち上がった。
俺の前へスッと手を差し伸べる。

「……そろそろ戻ろう。きっと悠馬と一樹も心配してるだろうし」
「そうだな」

碧斗が体を起こし、俺に手を差し伸べる。
その大きな手を掴んで立ち上がった。

そのまま屋上の扉を開くと声が聞こえる。

「……おっ、やっと出てきた」

そこには、心配そうな顔をした悠馬と一樹が待っていた。
俺たちが戻ってこないから、探しにきてくれたんだろう。

……あれ、待てよ。
キスとか見てねぇよな!?

「あ、なにも見てないから安心してね♡」

ニコニコ笑顔で伝える悠馬と。

「そうそう俺たち今来たところだからー……」

棒読みで伝える一樹。

怪しい……。
こいつら、怪しすぎる!!

とはいえ、もうこれ以上隠すのは限界だろう。
碧斗もこいつらに相談していたらしいし……ずっと言わないのもなんか嫌だつーか……。