ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


キレイな顔だな……。

その瞳に吸い込まれそうになる。

ああ、なんか俺……今、無性に……。
俺は、碧斗にそっと近づき唇にキスをした。

「……ん」

唇に触れると、碧斗が驚きに目を見開く。

花火大会の夜とは、違う。
事故ではない、本当のキスを今度は自分からした。

驚いたように目をぱちくりさせる碧斗。

「へへん、奪ってやった」

舌を出して意地悪に笑うと、碧斗は照れくさそうに笑った。

「凪、カッコいい」
「当然だろ?」

俺だってこれくらい男前なことし……。

「……んっ!?」

言いかけた言葉は途中で遮られた。
碧斗の手が俺を引き寄せ唇を塞ぐ。

「ちょ、あお……っ」

俺の軽く触れるだけの口づけとは違う。
今度は思考を奪い去るような熱いキス。

ようやく唇が離れると、俺は肩で息をしていた。

「……っ、はぁ……」

目の前の碧斗は、余裕たっぷりに口角を上げている。