ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


さっきまでの、あの深く傷ついた顔がウソみたいに、涙を浮かべて笑い転げている。

「な、なんだよ! 人が真剣に……!」
「だ、だって……っ! はは! 俺が、俺が死ぬと思って、タックルしてくるんだもん!しかも本気でさ」

「わ、悪かったな!」

俺は、顔を真っ赤にして碧斗の方を見た。
その隣に、同じように仰向けに寝転がる碧斗。

俺たちの間に静かな時間が流れた。

「はー……ウケる……」

碧斗はまだ笑いをこらえながら、屋上の灰色の空を見上げた。

「……もう、なんか……ほんと、凪ってそういうやつだよな」
「そういうやつ?」

碧斗は、笑うのをやめ真剣な表情で真上にある空を見上げる。

「そういうバカみたいにまっすぐなところが、凪のいいところで……俺が好きなところだ」
「……っ!」

不意打ちの言葉に、俺は息を呑んだ。

「……碧斗、本当にごめん」

俺は空を見上げたまま、つぶやいた。