ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


え、なに?
俺が驚いて顔を上げる。

女子たちは顔を赤らめ、興奮した様子でこっちを指差していた。

「ヤバい!今の彼氏感ヤバかった」

「さっきも手繋いでたし」
「本当推せる〜!」

はぁ?

「ナチュラルな距離感、最高……」

なんか、違うところで手繋ぎ効果が効いてるんですけど!
女子たちの熱っぽい視線は、明らかに俺たちふたりに向けられている。

なんかキャーキャー言われてるし……。
けど、こんな風に注目されるのは正直、悪い気はしなかった。

もしかして……。
碧斗といると、俺……モテる……!?

そう思った俺は、碧斗の肩に頭を乗せた。

「きゃあああああ」

さらに広がる黄色い声。
やっぱりそうだ。
女子からの注目を浴びた俺は、なんか悪くないなと思ってしまった。

「これでいこう」
「えっ」

「碧斗といれば、俺……モテる」

碧斗はよく分からないとでもいいたげな表情を浮かべていた。