廊下を全速力で駆ける。
心臓がドクドク音を立てているのが分かる。
一樹の言う通りだ。
俺はずっと碧斗の好意に甘えていた。
傷つくのが怖くて逃げてばかり。
そんなんだから碧斗を傷つけることになったんだ!
……どこだ?
碧斗はどこにいるんだ?
俺はいろんなところを探し回った。
息を切らして階段を駆け上がる。
やってきたのは、屋上だった。
勢いよくドアを開けると、風が吹き抜けていく。
広い屋上の端に、ぽつんと影があった。
碧斗だ。
よかった……ここにいた。
碧斗はフェンスに体を預けている。
じっと遠くを見つめて……。
いや、下を見てるのか?
その背中は今にも消えてしまいそうに見えた。
昨日の、表情のない顔が頭をよぎる。
(まさか……)
飛び降りるつもりじゃ。
俺があんなひどいこと言ったから、絶望して……?
嫌な汗が背中を伝う。
心臓が凍りついたみたいに冷たくなった。


