「凪はいいよね。好かれた側だから。相手の気持ち受け取るか受け取らないか決めるだけでいいんだから。いつも相手の反応を聞くのが怖い感情は碧斗に言わせてさ」
「なっ……」
一樹は淡々と続ける。
「碧斗だって怖かったはずだよ。それでもお前に気持ち伝え続けてたんじゃないの?」
その言葉が容赦なく俺の胸をえぐる。
そう、だ……。
碧斗はずっと俺に言葉をかけてくれた。
それなのに俺は、怖いからって碧斗と距離を置いていていいのか。
話さずにどうせ嫌われてしまったからって嘆いているだけでいいのか。
そうじゃないだろ!
「本当に失いたくないなら、今度は凪がリスク背負いなよ」
そこまで言った時、悠馬が真面目な顔で言った。
「碧斗、連れ戻してきたら?碧斗だってひとりでご飯は寂しいでしょ」
ふたりとも……。
「俺、行ってくる!」
ウジウジしたってなにかが解決するわけじゃない。
今度は自分が怖いと思う気持ちを碧斗に伝えなくちゃ。
俺は教室を飛び出した。


