ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる



翌朝。
いつもの時間になっても、碧斗は来なかった。

(……当然だよな)

あんなことを言って傷つけたのに迎えに来るわけがない。
重い足取りのまま教室に辿り着く。

教室の扉を開けると、碧斗はすでに席についていた。

いつもなら目が合って挨拶を交わしているだろう。
だけど碧斗は参考書に視線を落としたままだ。

おはようと声をかけたかったけれど、言葉が詰まって出てこない。
きっと返してくれるわけないよな……。

碧斗は怒っているんじゃない。
だからこそ、前距離が空いた時みたいに謝ればいいってわけじゃなくて……謝ってももう碧斗の中では答えが出てるかもしれないし、本当に俺と話したくないと思っているかもしれない。

(どうしたらいいのか分かんねぇよ)

碧斗に嫌われるのが怖い。
冷めたって思われるのが怖くて仕方ないんだ。

俺はぎゅっと唇をかみしめ、自分の席へ向かった。

それから、この日は一度も碧斗と話すことが出来ず、昼休みになってしまった。