ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


ダメだ。
このまま行かせたら、本当に勘違いして悲しいことになる。

誤解は今解かないと……。

碧斗が俺に背を向けて、そのまま歩き出す。

「待ってくれ!」

俺は衝動的に碧斗の腕を掴んだ。
しかし、碧斗は俺の手をパシンと強く振り払った。

「……っ!」

振り払われた俺の手が行き場もなく宙をさまよう。

「あお、と……」

「ごめんね」

彼は俺を見ることなく立ち去っていった。

あれは、拒絶だ……。
碧斗に本気で拒絶されたのは初めてだった。

碧斗は俺の言葉を聞いた時、どんな気持ちになっただろう。
最悪だと言われてどれだけ傷ついただろう。

なんで想像が出来なかったんだ……。

あの言葉を言って傷つく碧斗のことが。
俺は……バカだ!

ノリでも、たとえ話題からそれたかったとしても、言ってはいけない言葉だった。
自分が最低すぎて、吐き気がする。

どうやって謝ればいいのかも、もう分からなかった。