言葉にしたいのに、頭が回らない。
「違うんだ、本当に」
俺が碧斗に駆け寄っていく。
するとようやく碧斗は口を開いた。
「……ごめん」
「え?」
「……凪が、そんなに嫌だったなんて、想像しなかった」
「ち、違う!俺、あれは……!」
「ううん」
碧斗は力なく首を振った。
「今のが凪の本音なんだろ」
突き放すような声。
碧斗はうつむく。
「俺、花火大会のあれから……意識してくれてるなんて都合よく勘違いしてた。でもよく考えたら男同士だし……凪は元々俺のこと好きじゃなかったわけで……嬉しいわけないよな」
碧斗は、自嘲するようにふっと息を吐く。
「やっぱり上手くいくわけなんてない。無理させてごめんな……」
碧斗が俺に背中を向ける。
待ってくれよ。
俺、そんなこと一言も言ってないだろ!?
キスしちまって最悪だったなんてウソだ。
「碧斗、聞いてくれ……」
「1人になりたい」


