「花火大会だよ、お前来年は好きな人と行くって言ってたじゃん」
あー……その話か。
昔から言ってるからな。
イジられるのは仕方ない。
けど、じゃあ俺が来てたの見てたってことか……。
「なにが楽しくて男同士ふたりで祭り行かなきゃなんねぇんだって感じだよな」
立川が言う。
バッチリ俺と碧斗が一緒にいるとこ、見てんじゃねぇか。
なんか……めんどくせ。
別に碧斗と一緒で悲しいとかないしな!
それは俺が付き合ってなかったとしても。
まぁ、でも俺が女の子と行くんだってずっと言ってたのも悪いか。
だから早くこの話題終われ〜。
なんて心の中で思っていると。
「そんでさあ、俺は見ちゃったわけよ」
立川が俺の肩に腕を回してきた。
「さらに可哀想なお前を」
「……は?」
可哀想?
なんかあったっけ?
記憶を遡っている時、立川は言った。
「俺、ちょうど見たんだよね。人混みでお前がよろけて……唇がぶつかってたとこ」
「──っ!」
俺は、頭が真っ白になった。
見られてた!?
あんな人混みで、みんな花火しか見ていないだろう中で見られてた!?
やばい、やばい、やばい……。
俺は赤くなる顔を必死に抑えた。
収まれ、収まれ……明らかに怪しまれる!


