『次の授業、ダルいな』
イスに座っていると肩に頭を乗せてきたこともあった。
そういうのを思い返すと、確かに手を繋ぐくらいじゃ驚かれないのもわからなくはないが、だからと言って男同士で手繋いでるのにスルーはねぇだろ!
せっかく悪ノリに付き合ったのに、思った反応が得られなくてガッカリしてしまった。
「はぁーあ」
もういいし。
俺が手を離すと、名残惜しそうな顔をする碧斗。
お前がいつもベタベタするから失敗したんだからなぁ!
俺はふんっと鼻を鳴らしながらそのまま自分のイスに腰を下ろした。
昼休み。
騒がしい教室で、俺は次の授業の準備をしていた。
「凪」
すぐ側から声がして、顔を上げると碧斗が俺の机に手をつく。
ノートをのぞき込むように、自然に身を乗り出して肩と肩が触れ合うくらいの距離。
碧斗の匂いがふわりと香った。
確かに意識したことなかったけど、碧斗は人との距離が近い気がする。
その時。
「「キャーー!!」」
近くの席で固まっていた女子たちが、甲高い悲鳴を上げた。


