「凪!今の見た?」
満面の笑みだ。
「お、おう」
女子にキャーキャー言われても何も反応していないのに、俺にだけ笑顔を向けるのはやめてくれ。
なんか特別だって言ってるみたいだろ……!
周りにいるクラスメイトにバレないかヒヤヒヤする反面、その笑顔を俺が独占してるみたいでどこか心地よかった。
授業が終わり、放課後。
今日の一日はなんだか長かった。
今日は碧斗と新作のゲームをする約束をしている。
「よっしゃ! 帰るぞ!」
俺がガタンとイスを鳴らし、カバンを掴んだその時。
「あ、凪!お前日直だったよな?」
担任に呼び止められた。
「あ、はい……そうっすけど」
「悪いがこれ……職員室に持ってって、人数分ホチキス止めしといてくれるか」
「げっ……今からですか?」
うげという顔をする俺に担任は「頼んだぞ」とプリントの束を押し付けた。
最悪……。
なんで早く帰りたい時に限ってそうなるんだよ!
「凪、日直の仕事?」


