「避けられるのは悲しいから、無しね」
碧斗は笑顔を作って言った。
その表情を見て、俺の胸が大きく跳ねた。
いつもの涼しげな顔じゃない。
俺だけに向けられた特別な笑顔。
それを俺が独り占めしている事実に、心臓がうるさくて仕方がなかった。
(……ああ、そうか)
俺はこいつに、どうしようもなく惹かれているんだ。
男だとか友達とか、そんな理屈はもう関係ない。
ただ碧斗という人間が好きなんだと自覚した。
碧斗にもこんなにドキドキするんだな。
友達から始まったとしても、最初は意識していなくても気持ちが動いていく。
これがちゃんとした「恋」ってやつなのかもしれない。
(いつか……ちゃんと言わなきゃな)
一方的に想いをぶつけられるだけじゃなくて。 俺も同じ気持ちなんだってことを。
言葉にして伝えないといけない時が来るはずだ。


