「……は」
「冗談だよ、凪」
し、しねぇのかよ!
俺はその場にへなへなと座り込んだ。
「あまりに凪がかわいいから意地悪しちゃった」
碧斗は、しゃがみ込んだ俺を見下ろし楽しそうに言った。
「か……っ!かわいくねえし、冗談じゃねえぞ、今の……!」
「ふふ。ほら……帰ろう」
俺に向かって手を差し出す碧斗。
俺はその手を取りながら碧斗に尋ねた。
「なぁ……碧斗って花火大会のジンクスのこと知ってたのか?」
その言葉にぴたりと足を止める。
すると碧斗は振り返って言った。
「知ってたよ。だから……嬉しかったんだ」
碧斗は言葉を切ると、気まずそうに視線を逸らした。
白い肌が、首筋から耳の先までみるみるうちに朱に染まっていく。
いつもは涼しい顔をしているくせにこういう時には顔を赤らめるから厄介だ。
……バカ、こっちまでうつるだろうが。
心臓がまだバクバクとうるさい。
「凪の気持ちは分かってるつもり。でも……」
うつむいていた碧斗が顔をあげる。


