ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる



……え、ウソだろ?
今、俺と碧斗……ばっちり手ぇ繋いでるんだぞ?しかも恋人つなぎだぞ?

わざと机の上に腕を置き、絡めた指が目に入るようにしてみるが、悠馬はプリントをまとめ、一樹は欠伸を噛み殺しているだけ。

おいおいおいおい、おかしいだろう!
まずツッコミだろう。

手、繋いでるの見えてるよな?
もっと「うわっ!」とか「お前らなにしてんだよ!?」とかないわけ?

「おいいいい!」

思わず俺の方がツッコむ。
俺は絡めたままの手をふたりの目の前に突き出した。

「おい、突っ込めよ!手繋いでるだろ!?しかも恋人つなぎだぞ!?」

悠馬は一瞬きょとんとするが、後は気にしない様子で答える。

「あー……気づいたけど、別に」
「はぁ!?」

「いっつもそれくらい、お前らベタベタしてんじゃん」

一樹まであっさり頷くもんだから、俺の方が面食らった。

「碧斗なんていっつも凪にくっついてるし?」

「そうそう、凪の肩口に頭おいたりクッション代わりにしてるし?」

そ、そう思えば……。

『なーぎ』

朝、碧斗がなんの前触れもなく後ろから抱きついていることは何度もあるし……。