ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺が祭りに参加したことは秘密だ。

この辺の祭りということもあってか、みんながその話題について話していた。

「3組の斎藤さんと史郎くんもふたりで行ってたらしいし?けっこう意外なカップルが花火大会見に来てたんだってさ」

悠馬はあいかわらず情報屋だ。
参加していなくても、情報はきっちり仕入れている。

「なんかさ、友達から聞いたんだけど、今年やけにイチャイチャしてるやつらが多かったらしいぜ」

──ギクッ。

ば、バレてないよな?
ま、まあ俺はイチャイチャとかしてないし、あれは事故みたいなものだしな……。

「リア充羨ましい~」

一樹が棒読みで言う。

「その理由がさ、ジンクスがあるからなんだってさ」

ジンクス……?

「誰かが広めたら最近見事に広まったらしい」
「なんのジンクスだよ」

俺がたずねると悠馬はうんちくを話すみたいに話し出した。

「花火を見ている時にキスをすると、そのカップルはずっと幸せになれるってやつ!」

「ごほっ……ごほ。な、なんだよそのジンクス……!」

思わずせき込んでしまう。