ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる



「じゃあ……これはどうかな?凪の夢……叶えにきた」

「自信満々!カッコい~」

なんて茶化しながらも思う。
碧斗でも不安に思うことがあるんだな。

俺はこれくらいの碧斗の方が好きだ。
穢すとかそんなこと考えないでほしい。

だって俺だって碧斗のこと……っ。

ドクドクとうるさい心臓の音。
こんなに必死になって碧斗のこと探した。

それってたぶん、俺の中でも気持ちがまとまりつつあると思うんだ。

ドン、ドン、と次々に花火があがる。
ひときわ大きな歓声が上がったその時。

──ドン。

「わっ!」

背後から、誰かがぶつかってきた。

「おわっ……!?」

ぐらりと、大きく体が傾ぐ。
目の前には、碧斗の顔。

まずい、ぶつかる――!
そう思った瞬間。

「凪!」
「ん……っ」

唇に柔らかい感触がぶつかった。

「なっ……」

驚いて目を見開く碧斗。

「……っ!」

俺は慌てて体を離した。

今、俺……碧斗とキスした……?
唇にまだ柔らかい感触が残っている。

はじめての、キス……。
周りの歓声や、次々と打ち上がる花火の音がやけに遠くに聞こえた。