ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


なんで俺の話をしてるんだよ。
彼女の前なのにそんなことしたらダメだろ。

そんな風に思っていると、 美月と呼ばれた女性が言う。

「私……碧斗くんのいとこです」
「……え?」

俺は間の抜けた声を出したまま、固まった。

いとこ?
いとこってあのいとこ!?

彼女じゃなくて!?

「そうだよ」

碧斗がさらりと言う。

ってことは俺、勘違いしてたってことか……!?
顔から火が出るほどの羞恥心がこみ上げてきた。

碧斗の彼女だと思って、勝手に落ち込んで……恥ずかしすぎるだろう……。

「……なんだよ」

俺は、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。

「凪、大丈夫!?」

碧斗が心配そうに俺の顔をのぞきこむ。
だけど、俺は恥ずかしくて顔を上げることすらできなかった。

すると、隣で美月さんのスマホが音を立てた。

「あ、ごめん、碧斗くん!」

美月さんはスマホの画面を確認すると、申し訳なさそうに眉を下げる。

「お母さんから連絡が来て、私もう帰らないと!お母さんのところに行くね」