ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「初めまして。いつも碧斗くんがお世話になっています。美月といいます」

お世話になっています、か……。
なんだよ。やっぱりそういう関係なんじゃん。

碧斗のやつ、ヒデェよ!

「は、はじめまして、凪です」

まるで彼女です、って紹介されているみたいだ。
どこからどう見ても、お似合いなふたり。
邪魔はできない。

「じゃあ……俺、帰るわ。邪魔しちゃ悪いし」

俺は無理やり口の端を引き上げ、ふたりに背を向けた。

「え、待てよ、凪!」

碧斗が、俺の腕を強く掴んで引き留める。

「せっかくなら一緒に回らない?」

なんでそうなるんだよ!
どう考えたって俺、邪魔者になるだろうが。

「いいって……」

「でもさっかく会えたんだしさ、花火もこれからだし……」

俺、どんな顔で2人の横にいたらいいんだよ。

碧斗の保護者代表ですってか!?
そんなのおかしいだろ……。

「いいから離せよ!」

俺が腕を振りほどこうとした時、隣にいた女性がはっとしてこちらに駆け寄ってきた。

「もしかして、あの凪くん……?」
「へっ」

「碧斗くんがいつも話してくれるんです。凪くんっていう大事な人がいること」