ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


帰ろう……。
こんなところにいても、ろくなことはない。

俺は食べ終わった焼きそばをゴミ箱に押し込むと、人の流れに逆らうようにして歩き出した。

まじで次、碧斗とどんな顔して会ったらいいんだろう。

そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いているその時だった。

「あ……」

人混みの向こう、りんご飴の屋台の前で笑い合っている二つの影に俺は足を止めた。

背の高い、黒髪の男……紛れもなく碧斗だ。
そして、その隣には息を呑むほどキレイな女性がいた。

彼女が健太と了が言っていた人……。

ふたりが言っていた通りだった。
上品な紺色の浴衣を着こなし、キレイに結い上げた髪には簪が揺れている。

モデルみたいだ。
碧斗と並んで立つ姿がとてもお似合いで、側から見たらどう見てもカップルのようだった。

「凪!」

すると俺に気付いたのか、碧斗が嬉しそうにこっちに駆け寄ってくる。

「来てたのか!」
「え、あ、ああ……まあ、なんとなく。暇だったしな」

しどろもどろになる俺の前で、その女性はふわりと微笑み、深々と頭を下げた。