ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


焼きそばを食いながら歩いている時、向こうから誰かが手をふってくる。

「凪~~!奇遇だな!」

聞き覚えのある声。
それは去年一緒に祭りに行った友達だった。

今は隣のクラスになっちまった健太と良だ。

「よお」

俺が手を上げると、健太がニヤニヤしながら言った。

「あれ、お前ひとりかよ?いいな~って思ってる子にすっぽかされたかぁ?」

そんな傷口に塩塗るみたいなことやめてくれ!
俺はもう致命傷だぞ!

「べ、別にぃ?ひとりがよくてひとりで来たんだよ」
「へぇ?」

疑いの目を向けてくる良。

「うっせ!別に、ひとりで来たっていいだろ!」

俺はムキになって言い返す。
すると健太が言った。

「まぁすっぽかされたんなら、俺たちと回る?」
「違うって言ってんだろ!」

健太は俺の言葉を信じる気がないらしい。

「いいよな?」

と良に了承をとっていた。
こいつらとまわりたい気持ちもあるんだけど、俺は目的があってここに来たんだ。

「まぁ……そう言ってくれるのはありがたいんだけど、探してる人がいるんだ」
「探してる人?」