ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


そこまで考えて、頭をガシガシとかいた。

「ああもう、じっとしてられるか!」

こんな部屋でひとり、最悪の想像を膨らませているなんて柄にもない。

「ええい、ひとりでも行ってやる!」

俺は半ばヤケクソで叫ぶと、財布だけを掴んで家を飛び出した。

会場に着くと、まだ日は暮れきっていないというのに、人の多さに圧倒された。

色とりどりの浴衣を着たカップルや、楽しそうにはしゃぐ家族連れ。鮮やかな光と音、そしてソースの焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。

やっぱテンション上がるなー!

人波をかき分けながら、俺は碧斗を探していた。

「やっぱりこの人の量……簡単には見つからねぇか」

そんなことをぽつりとつぶやいていると、ソースの匂いが漂ってくる。

「……腹、減ったな」

腹が減っては戦ができぬって言うしな……。

俺は財布を取り出して屋台の焼きそばを買った。

ふふん。
屋台で食べる焼きそばは格別だよな♪