ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


うわっ、なんか恥ず……。
俺が素で答えると、碧斗はほっとしたような顔を見せた。

「やっぱり凪って優しいよね」
「は?」

碧斗は俺のこと優しい優しいっていうけど、そうか?
自分ではそんなに人に優しくしたりしてる覚えはないぞ?

俺を見つめて碧斗は優しく微笑む。
そして俺の目をまっすぐに見て告げた。

「だって最初から偏見とかなく俺に声かけてくれた。俺のこと、変えてくれたのが凪だったから……っ」

何言ってるんだか……。

「お前が変わりたいって思えたから変われたんだろ?」

俺と出会うきっかけはあったのかもしれない。
でもその後に変わりたいと思ったのは碧斗自身だ。

誰のお陰とかじゃなくて、お前が頑張ったんじゃん。

「ねぇ、凪……。俺さ、これからたぶん凪のことたくさん好きって伝えちゃうと思う。今まで溜め込んでた愛情表現、全部出しちゃうと思うんだけど……覚悟できる?」

まっすぐな目が碧斗に向けられる。
俺を射抜くような強い眼差し。
目を逸らせない。