ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


碧斗とふたりきりで、夕暮れの道を歩く。

他の子と行くってどういうことだよ……。
碧斗は一体誰と行くんだ……。

聞きたいけど、怖くて聞けねぇ!
もしかして碧斗はこの祭りを一大イベントとは思ってないのか!?

少しだけ気まずい空気が流れた時、それを破ったのは碧斗の方だった。

「……あのさ、凪」

ぽつりと、俺を呼ぶ声がいつもより少しだけ低い気がした。

「ん?」

俺が隣を歩く碧斗の顔を見上げると、碧斗はまっすぐ前を向いたまま、どこか躊躇うように口を開いた。

「ひとつ聞きたいことがあって……」
「なんだ?」

「俺が凪のことを好きだって……言った時さ。男なのに、気持ち悪いって思わなかった?」

気持ち悪い?
そんなこと、考えたこともなかったな。

ノリで付き合う!って言えてしまうくらいにはアリだと思ってたんだろうし?

まず碧斗が気持ち悪いとかは絶対に思わねぇしな。

「……思わなかったけど。だってお前……結構カッコいいし?アリよりだったつーか?」